謎解きの紙面でフォントを選ぶとき、 最初に考えるのは「雰囲気」ではありません。
読み違えられないことです。
雰囲気の合うフォントを選んで、 「ソ」と「ン」を取り違えられたら、謎は成立しません。
まず確かめる 5 組
候補のフォントを見つけたら、この 5 組を並べて打ってみます。
| 組 | 見るところ |
|---|---|
| ソ・ン | 点の向きと角度 |
| シ・ツ | 点の位置と払いの向き |
| ー・一・- | 長さ、太さ、上下の位置 |
| 0・O・o | 中の斜線、幅 |
| り・リ | 続けて書いてあるか |
この 5 組が見分けられないフォントは、 どれだけ雰囲気が合っていても本文には使えません。
特に「ー」と「一」は、 カタカナ語と漢数字が同じ紙面にあると直撃します。 長音「ー」の扱いでも触れたところです。
本文と装飾を分ける
紙面のすべてを同じフォントにする必要はありません。
| 場所 | 選び方 |
|---|---|
| 謎の本文・解答欄 | 読みやすさだけで選ぶ |
| タイトル・見出し | 雰囲気で選んでよい |
| 物語部分 | 読みやすさ寄りで、少し崩す |
| 効果音・演出 | 自由 |
雰囲気を出したいなら、タイトルで出します。 本文は素直な書体に任せます。
向いている書体の系統
丸ゴシック系 字面が素直で、点の向きがはっきりしています。 手書き感も少し出るので、やわらかい謎に合います。
ゴシック系 いちばん無難です。小さくしても潰れにくく、 コピー機を通しても形が保たれます。
明朝系 本文に使うと、横線が細くて印刷でかすれることがあります。 物語部分には向きますが、解答欄まわりでは避けたほうが安全です。
手書き風・デザイン書体 本文には向きません。 「り」と「H」、「く」と「<」の区別が付かないものがあります。
サイズの下限を決めておく
紙面が詰まってくると、文字を小さくしたくなります。 そこで事故が起きます。
目安として、この下限を守ります。
| 用途 | 下限 |
|---|---|
| 謎の本文 | 10.5pt |
| 注記・数え方の説明 | 9pt |
| 解答欄の文字 | 12pt |
| 拾わせる文字 | 12pt 以上、できれば大きく |
拾わせる文字だけは、思い切って大きくします。 解答者はその文字を書き写します。 書き写すときに読み違えると、そこから先が全部ずれます。
濁点と小さい文字が見えるか
日本語の謎ならではの点検です。
- 濁点(゛)と半濁点(゜)が、縮小しても見分けられるか
- 小さい「ゃ」と大きい「や」が、並んだときに違って見えるか
濁点を数える謎、小さい文字を拾う謎では、 ここが正答率に直結します。
10pt 前後で印刷して、腕を伸ばした距離から見ます。 それで見分けられなければ、サイズを上げるか書体を変えます。
印刷して確かめる
画面で見て決めてはいけません。
- 画面:発光しているので、細い線もはっきり見える
- 紙:インクがにじみ、細い線は太る/かすれる
とくに家庭用のインクジェットでは、 細い明朝体の横線が消えることがあります。
必ず、本番と同じ紙・同じ印刷方法で 1 枚出して確かめます。 紙による違いは紙選びと印刷にまとめています。
ライセンスを確かめる
配布物に使うフォントは、ライセンスの確認が要ります。
- 個人利用のみ許可されているもの
- 配布物への埋め込みが制限されているもの
- 商品として売る場合に別の条件があるもの
無償で公開されているフォントでも、条件はそれぞれ違います。 イベントで配る、通販で売る、という段階になったら、 使っているフォントの規約を一度読み直します。
迷ったときの組み合わせ
外れの少ない組み合わせを 1 つ挙げておきます。
- タイトル:丸ゴシックの太字
- 本文:ゴシックの中太
- 拾わせる文字:ゴシックの太字、本文より 2 段階大きく
- 注記:ゴシックの細字
書体を 2 つに絞って、太さとサイズで差を付ける。 これだけで、紙面はかなり整います。
見た目を整えたあとは、 読み違えられない文字組みの 並べ方の点検も合わせてどうぞ。