別解とは、作者が想定していないのに成立してしまう答えのことです。 テストプレイで見つかると、たいてい作り直しになります。
やっかいなのは、作者にはいちばん見えないところです。 自分の想定した答えを知っていると、他の読み筋が目に入りません。
机の上でできる点検を、効きの大きい順に並べます。
1. 条件だけを人に読ませる
いちばん確実で、いちばん軽い方法です。
答えを伏せて、条件文だけを人に見せます。 「4 文字」「2 文字目が『ん』」「食べ物」——これだけ渡して、 思いついたことばを全部挙げてもらいます。
自分では 1 つしか浮かばなかった条件から、 他人は平気で 3 つ 4 つ挙げます。それがそのまま別解の一覧です。
2. 辞書を引いて件数を見る
人に頼めないときは、条件をそのまま検索にかけます。 件数が 1 個でなければ、その時点で別解の候補があります。
ここで大事なのは、件数が 1 個でも安心しないことです。 辞書に載っていないことばは数えられません。 地名、商品名、方言、幼児語。このあたりは辞書の外から出てきます。
ことばこーぼーでも、1 個に絞れたときに「唯一解です」とは表示していません。 「現在登録されている辞書では 1 個です」という言い方にしているのは、 辞書の外を保証できないからです。
3. 文字種のゆれを見る
同じ音でも書き方が複数あると、そこから別解が生えます。
| ゆれ | 例 |
|---|---|
| 小さい文字の有無 | しょうゆ/しようゆ |
| 長音とそれ以外 | ケーキ/ケエキ、コーヒー/コオヒイ |
| ひらがなとカタカナ | ぱんだ/パンダ |
| 送りがな | とりけし/取り消し |
「文字数」を条件に使う謎では、ここが直撃します。 「ぎゅうにゅう」は 6 文字ですが、 小さい文字を大きく書けば「ぎゆうにゆう」で同じ 6 文字。 一方「しょうゆ」は 4 文字、「しようゆ」も 4 文字ですが、 2 文字目に来る文字が変わります。
謎の中で数え方を一度だけ示しておくと、この手の事故はほぼ消えます。
4. 「使わなかった条件」を疑う
条件を 3 つ書いたのに、実際には 2 つで答えが決まる。 このとき、余った 1 つは飾りになっています。
飾りの条件は害がないように見えて、 解答者に「この条件も使うはずだ」と思わせ、別の読み筋を作ります。
すべての条件が答えを絞るのに効いているか、1 つずつ外して確かめます。 外しても答えが変わらない条件は、消すか、書き換えるかのどちらかです。
5. 逆向きに解いてみる
想定した答えから出発して、「この答えに合う条件文」を書き直します。 書き直した文が元の文と違っていたら、そのずれが別解の入口です。
たとえば「2 文字目が『ん』の 3 文字の動物」と書いたつもりが、 答えから逆算すると「2 文字目が『ん』で、3 文字目が濁点」だった、という場合。 書いていない条件に頼っています。
6. 一晩おいて、条件文だけ読む
いちばん地味ですが、効きます。 作った直後は答えが頭にこびりついていて、他の読み筋が見えません。
一日おいて条件文だけを読むと、 「これ、あれでも成立するな」が急に浮かびます。
点検の順番
| 順 | やること | かかる時間 |
|---|---|---|
| 1 | 条件だけ人に読ませる | 5 分 |
| 2 | 辞書で件数を見る | 1 分 |
| 3 | 文字種のゆれを見る | 5 分 |
| 4 | 使わなかった条件を探す | 10 分 |
| 5 | 逆向きに解く | 10 分 |
| 6 | 一晩おいて読み直す | 一晩 |
1 と 2 だけでも、テストプレイに出す前の事故はかなり減ります。
それでも別解が出たら
出たときの直し方は、大きく 2 つです。
条件を足すのがふつうですが、条件が増えるほど謎は説明くさくなります。 足すなら、いま書いてある条件と種類の違うものを選びます。 文字数の条件が並んでいるところに、もう 1 つ文字数の条件を足しても、 解答者にとっては読む量が増えるだけです。
もう 1 つは、答えのほうを変えるやり方です。 別解が出るということは、その条件の周りに似たことばが密集しているということ。 少し離れた場所にある答えに引っ越したほうが、結果的に早いことがあります。
条件を足す方向で行くなら、 くわしく検索で条件をタグとして足し引きしながら、 件数の減り方を見るのがいちばん速いです。